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カテゴリー別アーカイブ: 日記

第22回造船配管雑学講座

皆さんこんにちは!


有限会社古庄工業、更新担当の中西です。

 

 

さて今回は

~技術革新と人の継承~

 

 

 

造船業界は今、大きな転換期を迎えている。人手不足、デジタル化、環境対応――そのすべてが、造船配管の現場にも影響を与えている。

DX(デジタル変革)による効率化

近年、多くの造船所でBIM・3D CAD・レーザースキャナを用いた配管設計が進んでいる。これにより、干渉チェックやルート最適化を事前に行い、現場での修正作業を大幅に減らせるようになった。

さらに、加工工場ではNC制御による自動切断・曲げ・開先加工が普及しており、精度の安定化と省力化が進んでいる。AIによる溶接条件最適化、ロボット溶接ラインも一部で実用化されている。

環境対応と新エネルギー船

国際海事機関(IMO)の環境規制強化により、LNG燃料船、メタノール燃料船、水素・アンモニア燃料船といった新エネルギー対応船が次々と建造されている。

これらの燃料は、従来の重油に比べて温度・圧力条件が異なり、配管材質や接合方法も専用のものが必要である。ステンレス・インコネル・アルミブロンズなどの高耐食合金が主流となり、配管工の技術要求も高度化している。

技能継承と人材育成

造船配管は、高度な現場判断力が求められる職種である。しかし、若手の入職者は年々減少しており、技能継承が大きな課題となっている。

各造船所では、熟練工の技術をデジタル記録化する取り組みや、VRを活用した溶接教育などが進められている。教育用モデルを通じて「実際の感覚」を再現し、若手が短期間で技能を習得できる環境が整いつつある。

人と技術がつくる未来

どれほど技術が進んでも、最終的に船を仕上げるのは人の手である。パイプの一本一本を正確に通す判断力、機器との取り合いを見極める感覚、それはデータでは置き換えられない職人の経験である。

造船配管の未来は、熟練工とテクノロジーが手を取り合う“共存の時代”だ。デジタルが効率を支え、人が最終品質を守る。その協働こそが、次の造船を動かしていく原動力となる。


まとめ
造船配管工事は、海の上で生きる巨大なシステムを支える精密産業である。一本のパイプの中には、技術・経験・誇りが詰まっている。
それは「見えないところにこそ真価が宿る」世界。

造船配管の職人たちは、今日も限られた空間の中で、船の未来を形にしている。

 

 

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第21回造船配管雑学講座

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有限会社古庄工業、更新担当の中西です。

 

 

さて今回は

~命を守る~

 

 

造船配管の現場は、重量物・高所・溶接火花・圧力試験など、多くのリスクを伴う。だからこそ、安全管理は「技術」と同じくらい重要である。

高所・狭所作業の危険性

配管工は、狭い機関室の天井裏や、高さ10mを超えるデッキ上でも作業を行う。足場が不安定な場所や、溶接時に火花が飛び散る環境下では、常に墜落や火災の危険がある。

作業前にはKY(危険予知)ミーティングを実施し、チーム全員で危険箇所を共有する。安全帯(フルハーネス)・防炎服・保護具の着用は必須であり、溶接中のガス爆発を防ぐための換気管理も欠かせない。

火気・ガス管理

造船所では、燃料タンクや閉鎖区画が多く存在するため、火気使用には厳しい制限がある。溶接やガス切断を行う際は、事前に「火気使用許可証」を発行し、周囲に可燃物がないかを確認する。

また、ガスボンベの転倒防止・圧力調整・逆火防止弁の設置など、設備安全も徹底される。これらの管理が一つでも甘いと、重大災害につながる恐れがある。

品質管理と検査体制

造船配管の品質管理では、施工記録と検査記録が重要となる。
耐圧試験・気密試験・漏洩検査・溶接記録・材料証明など、すべてのデータを船級協会が確認し、承認を得て初めて船として完成する。

特に国際船級(NK、DNV、LR、ABSなど)では、安全基準が非常に厳格で、少しでも基準を満たさない箇所は修正対象となる。これらの検査をクリアするためには、現場の職人と検査員の連携が欠かせない。

チームワークと安全文化

造船配管の現場では、熟練者が若手に「危険の読み方」を教える文化が根づいている。単なる手順の暗記ではなく、危険を“感じ取る力”を育てることで、安全意識が定着していく。

現場での安全は、一人ひとりの判断力の積み重ねによって守られている。

 

 

 

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第20回造船配管雑学講座

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さて今回は

~精度と技術~

 

 

造船配管の現場は、まさに「精度との戦い」である。数百メートルに及ぶ配管が複雑に絡み合う船内で、誤差を最小限に抑える技術こそが職人の力量を示す。

図面と現場のギャップ

造船では、設計図面(P&ID、アイソメ図)をもとに作業を行うが、実際の現場では他工種との干渉やブロック溶接による寸法変形などが生じる。そのため、図面通りに配管を加工しても現場では“合わない”ことがある。

経験豊富な職人は、こうした誤差を現場で読み取り、切断位置やフランジ角度を微調整して対応する。この「現場調整力」が造船配管工の真骨頂である。

溶接技術と検査

造船配管における溶接は、手溶接(アーク溶接、TIG溶接)、自動溶接、半自動溶接など多岐にわたる。特に高圧ラインや燃料配管では、溶け込みの深さや均一性が厳しく管理される。

完成後には非破壊検査(X線検査、超音波探傷試験)が行われ、内部に気孔や割れがないかを確認する。わずかな欠陥も許されず、品質基準を満たさなければ再溶接となる。

溶接技術者は、国家資格(JIS Z 3801)や船級協会の認定を受けて作業する。熟練者になるには、数年に及ぶ現場経験と技術訓練が必要である。

組立・配管ルートの最適化

船内の配管ルートは、限られた空間を最大限に活かすために立体的に組まれている。上下左右、さらには斜め方向に配管を通すことも多く、取り付け順序を間違えると他の配管と干渉してしまう。

そのため、配管班は施工順序を入念に計画し、先行・後行の工程を調整しながら作業を進める。特に主機室・ボイラー室・冷却水ラインでは、複数の班が同時に作業するため、高度な連携が求められる。

計測技術の進化

近年では、3Dスキャニングやレーザー測定が導入され、現場の寸法取りがデジタル化されている。これにより、手測りでは難しかった複雑な空間の採寸が正確に行えるようになり、加工誤差の削減につながっている。

造船配管の現場は、熟練の技術と最新のデジタルが融合する“精密工学の世界”である。

 

 

 

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第19回造船配管雑学講座

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さて今回は

~“血管づくり”~

 

造船配管工事とは、船舶の内部に張り巡らされた膨大な配管を設計・製作・取り付ける仕事である。船は単なる鋼鉄の塊ではなく、無数のパイプによって生命を保っている。燃料、冷却水、潤滑油、海水、空気、消火水、バラスト水、生活用水など、あらゆる流体がこれらの配管を通って流れる。言い換えれば、船舶の配管とは“血管”であり、そこに生命線が通っているのだ。

造船業における配管工事は、溶接・曲げ加工・据付・試験といった複数の工程から成り立つ。新造船では数千本にも及ぶ配管が施工され、1本でも誤りがあれば船の運航に支障をきたす。つまり、造船配管工事は「正確さ」と「耐久性」が絶対条件の職域である。

配管システムの分類

船舶にはおおまかに次のような配管系統が存在する。

  • 主機系統配管:主機関(エンジン)を冷却し、潤滑油や燃料を供給する。

  • 補機系統配管:発電機やポンプ、空気圧縮機などの補助機器を支える。

  • 居住系統配管:乗組員の生活用水、排水、空調、衛生設備などを担う。

  • 安全系統配管:消火装置、スプリンクラー、バラスト、非常排水など、緊急時に機能する。

それぞれの系統は、圧力・温度・材質・口径が異なり、設計段階から専門知識が求められる。

材料と加工技術

造船で使われる配管材は、炭素鋼、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金などが中心である。使用箇所によって耐腐食性や強度が異なるため、材質選定は慎重に行われる。

配管の加工では、パイプベンダーによる曲げ加工、端部の面取り、溶接前の開先加工、フランジ取り付けなどの精密作業が求められる。一本のパイプを曲げる角度が数度違うだけで、全体のラインが狂うこともある。

据付と艤装工程

造船では、船体ブロックごとに分けて配管を取り付ける「ブロック工法」が一般的である。配管班は、設計図に基づき、限られた空間にパイプを立体的に配置していく。機関室のような狭い場所では、既設の機器やケーブルとの干渉を避けながら、ミリ単位で配管を通す必要がある。

完成後は耐圧試験・漏洩試験を実施し、気密性を確認する。水圧試験では数十気圧の圧力をかけ、漏れがないかを厳重に検査する。

造船配管工の誇り

造船配管は、完成後にはほとんど見えない部分に隠れてしまう。しかし、そこに通る流体こそが船の命を動かしている。造船配管工は、見えないところで“海を支える仕事”をしているのである。

 

 

 

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第18回造船配管雑学講座

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さて今回は

~精密と創造の現場~

 

 

船舶を造る仕事というと、船体やエンジンが注目されがちです。
しかし、その中で確かな機能を生み出す“配管”の存在を知る人は多くありません。

造船配管業は、海上輸送を支える「静かな技術職」。
その一つひとつの作業に、熟練の技と責任感が込められています。

1|複雑な構造の中での正確な施工

船の内部は、狭く複雑な構造をしています。
配管工たちはその限られた空間の中で、膨大な配管を正確に通していきます。

通す順序や曲げ角度、接合部分の強度――
どれもが緻密に計算され、現場での柔軟な判断によって完成していきます。

一つの作業に何人もの職人が関わり、まさにチームワークの結晶といえる現場です。

2|技術革新と人の手の融合

近年では、3D設計や自動溶接機など、デジタル技術の導入も進んでいます。
しかし、最終的に“確実に通る配管”を作るのは、人の手と感覚です。

機械だけでは判断できない細かな歪みや調整を見抜くのは、
長年の経験と勘を持つ職人の仕事です。

こうした“人の技”が、今も造船業の品質を支えています。

3|挑戦し続けるものづくりの現場

造船配管業は、単調な作業ではありません。
新しい船種や構造が登場するたびに、配管設計や施工方法も進化しています。

「どうすればより安全に、より効率的に船を動かせるか」
その探求心こそが、造船配管の現場を成長させてきました。

完成した船が無事に進水し、世界の海を渡る瞬間。
その内部で自分たちの仕事が機能していると感じたとき、
職人たちは大きな達成感と誇りを胸に刻みます。

 

 

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第17回造船配管雑学講座

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さて今回は

~“見えない力”~

 

海を走る巨大な船。その内部には、人の目には見えないほど複雑な配管システムが張り巡らされています。
燃料、冷却水、空調、油圧、消火、生活用水など、船内のあらゆる設備を動かすために不可欠な“命のライン”です。

この配管を設計・加工・設置する仕事こそが、造船配管業。
まさに「船を動かす縁の下の力持ち」と言える存在です。

1|造船配管業とはどんな仕事か

造船配管の仕事は、単にパイプをつなぐだけではありません。
船の設計図をもとに、何百本もの配管を正確に配置し、圧力や温度、流量に応じて最適な材料・サイズを選びます。

さらに、船内は限られたスペースで機器や電気配線が入り組んでいるため、
配管ルートの設計には“高い空間把握能力”と“緻密な判断”が必要です。

2|精密さと経験が求められる現場

配管工は、船の心臓部とも言えるエンジンルームをはじめ、
空調・冷却システムなどの機能を維持する要所で作業を行います。

1ミリのズレが全体に影響するため、経験と感覚の両方が求められます。
また、溶接や曲げ加工などの専門技術も必要で、現場ごとに異なる条件に柔軟に対応する力が欠かせません。

3|海を渡る“技術の結晶”

完成した配管は、見えない場所で確実に船を支えます。
船が世界の海を渡るたび、その内部で流れる燃料や水、空気を通す管が休むことなく働いているのです。

造船配管業は、表舞台には出ないものの、船の命を支え、世界の物流を動かす誇りある仕事です。

 

 

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第16回造船配管雑学講座

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さて今回は

~やりがい~

 

 

1|この仕事の役割——“漏らさない・燃やさない・止めない”

造船配管は、流体の道を設計し、安全に流し続けるための基幹工事。
燃料・海水・潤滑・空気・計装・冷媒……一本の配管が安全・性能・工期・LCC(ライフサイクルコスト)に直結します。


2|“いま”現場に求められている主要ニーズ

①一発で付くスプール(設計・製作)

  • 3D干渉の完全解消、**取り合い寸法(面間・ガスケット厚・伸縮代)**の明記。

  • 支持金物・貫通(MCT)・断熱・塗装復旧まで前倒し確定

②品質と安全の両立(施工)

  • PTW/LOTO・火気管理・ガス連続監視(狭隘/タンク内)。

  • WPS/PQR順守、溶接履歴とヒートNo.のトレーサビリティ

  • 極低温・低引火点燃料(LNG/メタノール/アンモニア/水素)系の二重殻・ベント・パージ

③クリーンネスと検査(試運転前)

  • フラッシング流速・ΔP・フィルタメッシュ、NAS/ISO清浄度の達成。

  • 酸洗・パッシベーション、Heリーク/耐圧・気密の一次合格

④保全性とLCC(運用)

  • ドレン・ベント・ストレーナ位置、デッドレグ最小化、振動・熱膨張の吸収(ベローズ/ループ)。

⑤生産性とデジタル(全体)

  • スプール化・キッティング・オービタル溶接でタクト短縮。

  • QR台帳(材質・溶接・検査・塗装・断熱)でクラス査察即応


3|この仕事のやりがい

  • “流れ出す瞬間”に立ち会える:フラッシング完了→ポンプ始動→圧・流量が狙い値に乗る高揚。

  • 手仕事×エンジニアリングの融合現合ゼロで納まる曲げ、オービタルのビードが揃う快感

  • 制約を解くパズル:狭い艤装空間で安全・点検性・工程を同時に満たす設計解。

  • 安全と命を守る誇り漏れない=燃えないを実装し、海上試運転を支える中核。

  • チームの一体感:船殻・機械・電装・塗装が一本の配管でつながる達成感。


4|やりがい×ニーズが交差するミニ事例

  • “一発取付”達成:3D点群→先行製作→現場Fit-up無手直し。再溶接ゼロ・工程1日短縮

  • Heリーク一次合格:燃料ガス系で0件是正、ガス供給の立上げが予定前倒しに。

  • 海水系の材質見直し:一部をGREへ→腐食トラブル激減、保守停止も短縮。

  • QR台帳導入:溶接・検査・塗装が即参照でき、クラス指摘ゼロ更新


5|“今すぐ効く”現場ミニ戦略

  1. 図面に赤で“圧力境界&清浄度境界”を明示:フラッシング対象が一目で。

  2. スプール毎に“取り合い寸法ラベル”:面間・ガスケット厚・許容差を現場で即確認。

  3. Fit-up三点セット芯出し→回転角→銘板/ヒートNo.撮影を溶接前チェックに。

  4. フラッシングは“逆流→順流”:デッドレグ洗浄と粒子カウンタ記録をセットで。

  5. 極低温支持の見える化コールドシュー位置・熱橋・結露ラインを断面スケッチで共有。

  6. MCTマトリクス:径・本数・ブロック・優先度で貫通の先行固定

  7. 10分クラッシュ・ハドル:船殻/配管/電装/塗装の立会いで**“今日の干渉”を朝解決**。


6|成果が見えるKPI(目安)

  • スプール一次合格率(%)/現場切回し率(↓)

  • RT/UT不合格率(ppm)/溶接是正率(%)

  • 耐圧・気密・Heリーク一次合格率(%)

  • 清浄度合格率(NAS/ISO)/フラッシング回数

  • 再作業人時/スプール工程遵守率

  • 安全:ガス測定逸脱ゼロ継続日数/Stop Work発動件数(↑は健全)

  • 査察:クラス指摘件数/トレーサビリティ完備率(%)

大切なのは他社比較より自ラインの基準線を上げ続けること。設計→製作→施工→検査→運用のPDCAが王道です。


7|スタッフのウェルビーイング

  • 安全:狭隘・高所・火気のPTW/LOTO、換気・連続ガス監視、火花看視の二重化。

  • 身体:頭上・前屈姿勢を減らす治具・昇降台・支持スタンド、重量物は押す>持つへ。

  • 学び:IGF/代替燃料、オービタル、清浄度規格、HAZOPの基礎。

  • 文化:誰でも作業停止を宣言できるStop Work権限の明文化。


8|キャリアと学びの道筋

製作工 → 取付工 → 溶接管理/班長 → 施工管理 → QA/QC・検査 → 試運転 → 配管設計(3D)/計画 → PM。
横断スキル:配管クラス、材料・腐食、NDT、清浄度、3D/アイソメ、工程・安全、英語・クラス対応。


9|これからの潮流

  • 代替燃料フル対応:メタノール・アンモニア・水素で材質・ガス検知・換気が再定義。

  • モジュール&スキッド:FGSSやユーティリティの**“据えてつなぐ”**化。

  • 自動化・ロボ:小型ロボFit-up、オービタル常用、パイプショップの自動切断・マーキング

  • デジタルスレッド:設計→製作→検査→引渡しのQR台帳一気通貫。

  • CBM×設計リターン:実船の圧・温・振動ログを次船の配管クラスへ反映。


10|まとめ

造船配管のニーズは、一発で付くスプール/安全と清浄度の証跡/極低温・代替燃料対応/トレーサビリティと生産性
その中でのやりがいは、流れを生み出す瞬間に立ち会えること、手仕事と工学を融合して最適解を形にすること、安全と性能で船を支える誇りにあります。

“漏らさない・燃やさない・止めない。”
今日の一本が、明日の航海を強くします。

 

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第15回造船配管雑学講座

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さて今回は

~変遷~

 

1|手描きと現合が主役だった時代(〜1980年代)

  • 設計:テンプレートと手描き図、現場採寸→**現合(げんごう)**で取り回すのが常態。

  • 製作:単純ベンダ・ロールでの曲げ、継手は手溶接中心。

  • 材料:軟鋼・CuNi(90/10)・黄銅・黒ガス管、海水系はCuNiが主流。

  • 品質:漏れ試験・通水試験は現場仕上げ後に実施。職人の勘が品質を左右。


2|標準化とプレファブ化(1990年代)

  • 設計の標準化:系統ごとに**配管クラス(圧力・温度・材質・継手規格)**を整備。

  • スプール化:**アイソメ図(スプール図)**で工場先行製作→現場は取り付け主体へ。

  • NC化:NCパイプベンダ・パイプ切断機の普及で曲げ精度と歩留まりが向上。

  • 検査PN・Classごとの耐圧/気密が体系化、NDT(PT/MT/RT/UT)を組み合わせる文化に。


3|3D設計とブロック先行艤装(2000年代)

  • 3D CAD/PDMSの導入で干渉チェック・重量・MTOが前倒し可能に。

  • ブロック艤装:船殻ブロック段階で**配管・支持金物・貫通部(MCT)**を先付け、進水後の工数を圧縮。

  • 材料の多様化:**ステンレス(316L)・二相系・GRE(海水系)**の使い分けが一般化。

  • 品質・安全:A60/Hクラス隔壁の耐火貫通・防火塗装・コーティングの整合が標準に。


4|環境規制と極低温配管の時代(2010年代)

  • LNG船・FGSSの普及で**極低温(-162℃)**配管・バルブ・クライオサポートが主戦場に。

  • IGFに準拠した低引火点燃料(LNG等)で**二重殻・ベント・パージ(N₂)**の手順が厳密化。

  • 洗浄レベルの高度化:フラッシング・ピックリング・パッシベーションの手順書化、NAS/ISO清浄度管理。

  • 軸系・機関まわり:振動・熱膨張を見込んだベローズ・ループ・フレキ計画が当たり前に。


5|代替燃料・DX・自動化の現在地(2020年代〜)

  • 燃料転換メタノール・アンモニア・水素対応の配管・材料・検知・換気がテーマ。腐食・脆化・毒性を考慮した材質・パッキン・シールの選定が肝。

  • デジタルスレッド3D→スプール→QR→出荷→取付→検査→試運転までをデータ連携、クラウド台帳でトレーサビリティ確保。

  • 製作自動化:レーザーマーキング、自動溶接(TIG/オービタル)、ロボFit-up、ARでの現場照合。

  • 実船フィードバック:I0T圧力・温度・振動で劣化傾向を把握、改修デザインに反映。

  • 複合材・断熱:GRE・サンドイッチ断熱、**極低温支持(G10/マイナス用PU)**や結露対策の標準化。


6|構成要素で見る進化ポイント(早見表)

  • 設計:手描き→2D CAD→3D/干渉自動検出→点群リバースエンジニアリング

  • 材料:軟鋼・CuNi→SUS/二相系・GRE・低温用Ni鋼→代替燃料向け特殊材料

  • 製作:現場現合→工場スプール化→NC/自動溶接・キッティング

  • 施工:後艤装→ブロック先行艤装→AR照合・デジタル出面

  • 検査:通水→耐圧/気密+NDT清浄度・脱脂・リーク(He)

  • 運用:定期補修→状態基準保全(CBM)→実運用データで設計に戻す


7|タイムラインで一気に把握

  • 〜1980s:現合・手描き、職人技が中核

  • 1990s:配管クラス整備・スプール化・NC曲げ

  • 2000s:3D設計・ブロック艤装・材料多様化

  • 2010s:LNG/極低温・洗浄レベル高度化・IGF対応

  • 2020s–:代替燃料・DX・自動化・CBM


8|“いま”の主要ニーズ(造船所×配管業の共通言語)

  • 一発で付くスプール寸法公差・装備干渉・支持金物まで3DでFIX、現場切り回しゼロへ。

  • 清浄度と脱脂:燃料・作動油・計装系はNAS/ISO規格準拠、フェライト抜き酸洗・パスの証跡。

  • 極低温・毒性対応ベント・パージ・検知・換気を含むシステムで安全性を担保。

  • トレーサビリティヒートNo.・WPS/PQR・溶接者ID・検査結果をQRひも付け。

  • レイバーセーフティ:狭隘・高所・火気のPTW/LOTOと可燃性ガスの連続監視。

  • LCC/耐食:海水→GRE・CuNi・SUSの適材配置、蒸気・凝縮水・ケミカルも腐食設計で。


9|“今すぐ現場で効く”実務メモ

  1. 赤ペンで“支持ライン”を先に引く:配管だけでなく支持金物→溶接順序→塗装復旧まで先出し。

  2. スプールには“取り合い寸法”を印字ガスケット厚・面間・伸縮代を現場が即判断できるように。

  3. 洗浄・フラッシングは“逆流→順流”:デッドレグを洗い切る回路図を作ってから着手。

  4. リーク試験の温度補正:気密は温度ドリフトを見込んだ保持時間設定で誤判定を防止。

  5. 貫通部は“耐火×気密×防水”の三位一体:MCT・シール材・コーキングの組合せ台帳を標準化。

  6. 曲げVS継手の最適解溶接本数削減=品質と工数の両得。曲げ許容と治具有無で設計段階に判断。

  7. 極低温支持は“熱橋・結露”を絵に:断熱の切れ目・吊金具の冷輻射を断面スケッチで共有。


10|成果が見えるKPI(目安)

  • スプール一次合格率(%)/現場合わせ率(↓ほど良)

  • 溶接手直し率(%)RT/UT不合格率(ppm)

  • 耐圧・気密一次合格率(%)/リーク再試験件数

  • 洗浄・清浄度合格率(%)(NAS/ISO)/脱脂確認の是正率

  • 取付工数(人時/スプール)工程遵守率

  • 安全:ヒヤリハット報告率(高いほど学習文化)/火気作業違反ゼロ継続日数

重要なのは“他社比較”より自ラインの基準線を上げ続けること。設計→製作→施工→検査→運用のPDCAが王道です。


11|これからの造船配管:5つの潮流

  1. 代替燃料対応の本格化:メタノール・アンモニア・水素で材料・シール・検知が再定義。

  2. デジタルスレッド:PLM/ERPと連携し、材料→加工→検査→引渡しの一気通貫トレース。

  3. 自動溶接・自動組立:狭隘域向けの小型ロボ/オービタルの標準搭載。

  4. モジュール&スキッドFGSS・ユーティリティをパッケージ化し、艤装は**“据えてつなぐ”**へ。

  5. CBM×設計リターン:実船データで振動・腐食・熱膨張の弱点を特定→次船の配管クラスへ反映。


12|まとめ

造船配管は、
現合と手描き → 標準化・スプール化 → 3Dとブロック艤装 → 極低温・クリーン・IGF対応 → 代替燃料×DX×自動化
と進化してきました。

これから選ばれるのは、一発で付くスプール清浄度・安全の証跡、そしてデータで回す改良力を兼ね備えたチーム。
**“漏らさない・燃やさない・止めない”**を合言葉に、次の艦(ふね)をより強く、より賢く。

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第14回造船配管雑学講座

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さて今回は

~レトロフィット&修繕~

 

 

運航を止めずに性能を上げる——。既存船のBWTS(バラスト水処理), 省エネ改造, 燃料系統のアップデート(LNG/メタノール等)は、配管のレイアウト刷新短工期プレハブが勝負どころ。私たちは事前採寸→設計→船上艤装→試運転までワンストップで支援します。


レトロフィットの主なテーマ

  • BWTS追加:本体・フィルタ・UV/電解装置の配置とバイパス経路設計

  • 省エネ:クーリング配管の圧損低減/熱交換器の更新/断熱強化

  • 燃料転換:低温配管(LNG等)の二重配管・断熱・膨張吸収設計

  • 排ガス関連:洗浄水・補機配管の整理、点検スペース確保


工程短縮のしくみ

  1. 事前サーベイ:運航スケジュールに合わせ、停泊中に採寸・干渉調査

  2. 3D化・設計:レイアウト案→アイソメ→支持計画→工区分割

  3. プレハブ製作:陸上で溶接・塗装・保温まで完了しスプール化

  4. 艤装(船上):短時間で据付/最小限の切回し・延長

  5. 試験・試運転:耐圧・機能・アラーム/乗組員引継ぎ

目的は“船の止まり時間”の最小化。夜間作業・分割施工で運航影響を抑えます。


技術ポイント(失敗しない勘所)

  • バイパス&隔離:船内運用に合わせメンテ時の流路確保

  • 系統洗浄・清浄度:改造部はフラッシング基準を明確化

  • 支持金具:既設梁・バルクヘッドを活用し、荷重と振動を両立

  • 断熱・防露:冷温差が大きい区間は結露対策を優先

  • 安全区画:火気作業は防火隔壁・火花養生・避難動線を先に確保


修繕(ドック)での即応メニュー

  • ピンホール・腐食部の切回し更新/弁更新・パッキン総替え

  • サポート・ハンガーの再配置、振動・騒音低減

  • 計装配管の一括更改とラベル再整備(運用時の迷い防止)


事例イメージ

  • ばら積み船:BWTS導入で配管バイパスを新設、停泊48hで据付→試運転完了。

  • コンテナ船:LNG燃料補助系統の更新で断熱+伸縮を最適化、冷熱リークなし。

  • タンカー:油系統の漏えいリスクを二重配管化で低減、点検性向上。

※船種・設備・運用条件で効果は変わります。


よくある質問

Q. 運航影響を極小化できますか?
A. プレハブ率を最大化し、停泊時間に集中施工します。工程表を事前共有します。

Q. 図面や記録は?
A. 竣工図・試験成績・材料証明・溶接/検査帳票を船内保全用に整備してお渡しします。

Q. 見積に必要な情報は?
A. 船型・区画図・対象系統図・運航スケジュール・停泊港・希望完工日。


ご相談ください

「この停泊でここまで」「この系統を分割更新」など制約前提の提案が得意です。
**止めない改造で、航海を強く。**私たちが現場に最適解を届けます。

 

 

有限会社古庄工業では、一緒に船舶の安全運航を支える仲間を募集中です!
「人柄」を最重視する採用方針で、未経験の方も大歓迎。
詳しくは求人情報ページをご覧ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!

詳しくはこちら!

 

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第13回造船配管雑学講座

皆さんこんにちは!


有限会社古庄工業、更新担当の中西です。

 

 

さて今回は

~“先行段取り”~

 

船は“動く工場”。海水・燃料・油・空気・消火水・バラスト…数百系統に及ぶ配管が、24時間365日、航海を支えています。私たちは設計→製作→艤装→試験→引渡しまで一気通貫で管理し、安全・耐久・メンテ性を満たす配管を実装します。


造船配管の主要系統と特性

  • 海水冷却系:腐食対策/銅合金・SUS・内面コーティング

  • 燃料・潤滑油系:漏えい防止/二重配管・防油堤・検知設計

  • バラスト・ビルジ:流量確保/ポンプ容量・逆止弁・船体貫通の健全性

  • 消火・スプリンクラー:即応性/リングメイン・冗長化・ゾーニング

  • 空気・計装:清浄度/ドライヤ・フィルタ・圧力損失管理

  • HVAC(空調):結露・騒音対策/断熱厚・吊金具・防振

要点:流体特性×材質×溶接方法×支持金具の最適化が、長寿命と保守性を決めます。


成功のカギは“先行艤装”と干渉ゼロ設計

  • ブロック段階での先行艤装:船殻閉合前に配管・支持金具を組み込み、後工程の手戻りを最小化

  • 3D干渉検討:狭小区画でバルブ操作域・点検空間を確保

  • 伸縮・振動対策:エキスパンションジョイント、防振ハンガ、スライド支持

  • 貫通部・隔壁:規定クリアランスと防火・防水の等級を順守


製作〜艤装の標準フロー

  1. 設計:系統図/アイソメ図/サポート図/MTO(材料表)

  2. 材料管理:MTCトレース・熱番号管理・受入検査

  3. プレハブ:切断→開先→仮付→TIG/SMAW溶接→内外面処理

  4. 非破壊検査:VT/MT/PT/UT(系統・材質・圧力で選定)

  5. 塗装・防食:環境に応じたプライマー/内面コート/保温・結露対策

  6. 艤装据付:通り確認→吊り金具調整→トルク管理→マーキング

  7. 耐圧・気密試験:水圧・空圧、計器校正、リークチェック

  8. フラッシング・洗浄:流速管理・清浄度測定(ISO相当)

  9. 運転立上げ:バルブ開度・警報・インターロック確認


品質基準とドキュメント

  • WPS/PQR・溶接者資格の適用/更新

  • 検査記録:溶接記録、NDT報告、耐圧試験成績、材料証明

  • 保守資料:系統図・バルブリスト・消耗品リスト・点検周期表

“作って終わり”ではなく、追跡可能な記録が船齢全体の安心につながります。


安全衛生(HSE)の徹底

  • 火気作業許可・ガス検知・換気・防爆機器の使用

  • 狭所・高所作業の手順化/落下物・転倒リスクの除去

  • 化学物質(溶剤・洗浄剤)管理と教育


よくある質問

Q. 工期短縮のポイントは?
A. 先行艤装+プレハブ率向上、共通支持金具の標準化が効きます。

Q. 腐食対策は?
A. 材質選定(Cu-Ni/SUS)+内面コート+電気防食の多層設計で臨みます。


まずはご相談ください

計画段階から参画し、干渉ゼロ設計×先行艤装で品質と工期を両立。
新造船の配管は、段取り8割。私たちが現場に最適解を届けます。

 

 

有限会社古庄工業では、一緒に船舶の安全運航を支える仲間を募集中です!
「人柄」を最重視する採用方針で、未経験の方も大歓迎。
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