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皆さんこんにちは!
有限会社古庄工業、更新担当の中西です。
今回は、造船配管工事の現場で長年受け継がれてきた「鉄則」について、経験と技術をもとに詳しく解説します。
設計図はあっても、船の現場は想像以上に複雑です。
現場の溶接隙間、構造物のわずかな歪み、他配管との干渉
作業姿勢の確保が難しい狭所や曲面、傾斜構造
したがって施工者には、図面を読みつつ、現場で微調整する判断力が求められます。
特に排水・冷却水・オイル戻りラインでは、勾配・配管径・流速設計が命。
勾配は基本1/100〜1/50(用途による)
流速が遅すぎると滞留、速すぎると摩耗・騒音・振動の原因に
垂直配管ではエア抜きバルブや水溜まり防止設計が重要
“配管は重力と流体の物理”で動くことを常に意識して施工する必要があります。
配管の命は、何よりも接合部の確実性。
強度(機械的に壊れない)
密閉性(漏れない)
耐環境性(腐食・熱・圧力に強い)
そのためには、
溶接ビードの均一化とノンダメージ(スパッタ・酸化防止)
フランジ接続時のガスケット材選定・締付トルクの適正化
磁粉探傷・浸透探傷・X線検査などの**非破壊検査(NDT)**も欠かせません
造船配管には、以下のような配管識別規格があります。
緑=淡水、青=海水、赤=消火、黄=燃料、白=空気など
向き・流体・系統名をラベルやペンキで記載(JIS Z9104 など)
これにより、修理・整備・点検時の安全性と効率が大幅に向上します。
“誰が見ても、わかる設計と施工”がプロの鉄則です。
船は揺れ、振動し、湿気にさらされます。
だからこそ、以下の対策が必須です。
防振支持金具の設置(ゴムブッシュ・Uボルト+スプリング)
電気防食(亜鉛サクの設置)による腐食防止
ドレン弁の設置による水抜き・残留液の排出
いくら設計が良くても、「振動→ゆるみ→漏れ→事故」の流れは防がねばなりません。
造船配管は、完成後に“見えなくなる場所”ばかり。
だからこそ、施工時の1ミリの妥協が、10年後のトラブルになるのです。
設計どおりであること
現場ごとの対応力を持つこと
見えない部分にもプロの矜持を込めること
それが、**船を動かすための“静かな技術者たちの鉄則”**です。
次回もお楽しみに!
有限会社古庄工業では、一緒に船舶の安全運航を支える仲間を募集中です!
「人柄」を最重視する採用方針で、未経験の方も大歓迎。
詳しくは求人情報ページをご覧ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!
皆さんこんにちは!
有限会社古庄工業、更新担当の中西です。
今回は、造船業界の中でも縁の下の力持ちである「造船配管工事の歴史」に注目し、その誕生から進化、そして現代に至るまでの流れをたどっていきます。
造船配管とは、船舶内で使用されるすべての配管システムの設計・製作・施工を担う仕事です。
飲料水、燃料、冷却水、排水、空調、消火システム、排煙、油圧系統、蒸気ライン――
つまり、配管なくして船は動かないどころか、1メートルも航行できないのです。
日本における本格的な造船配管の歴史は、明治時代後半〜大正時代初期、洋式艦船の国産化とともに始まりました。
船内にボイラーを搭載し、蒸気配管で動力を伝える時代
鉄製の手曲げパイプ、リベット式接合が主流
当時はまだ「専門職」として分化されておらず、船大工や鍛冶職人が兼任する形でした
1950年代〜70年代、日本は世界の造船大国へと躍進。
この時期、造船配管は明確に「専門職」として独立し、技能体系が整備されていきました。
油送・燃料供給ラインの複雑化により、多種多様な配管系統の登場
銅管や鋼管に加え、ステンレスや高張力鋼配管も導入
サブマリン(潜水艦)や大型タンカーなど、高圧・高温・耐震配管が求められるように
この時代に造船配管は「単なる水の通り道」から「システム構成の核」へと進化を遂げます。
それまで手書き図面+現場の勘に頼っていた設計が、
コンピューターによる**配管3Dモデル化(CAD/CAM)**によって一変します。
配管の干渉チェック・空間干渉の事前検出が可能に
プレファブ(事前工場製作)による現場溶接数の削減と施工効率化
より正確な材料拾い出しとコスト削減
造船配管は、より複雑で精密なものへと進化し、同時に設計と製作の分業体制も進んでいきました。
高圧配管と低圧配管の完全分離
油・水・空気・蒸気の用途ごとの色分け・ラベル管理の徹底
溶接からフレア・フランジ・ねじ式・圧着式など接合工法の多様化
耐火・耐震・防爆・防蝕など特殊環境対応素材の選定
そして、溶接技術者・配管加工技術者の技能資格保有が、今や業界標準となっています。
推進、操舵、冷却、消火、生活――
船のあらゆる機能は、配管という見えないネットワークで支えられています。
歴史と共に進化してきたこの分野は、これからも技術革新の最前線で「命を運ぶ配管」を担い続けることでしょう。
次回もお楽しみに!
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