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皆さんこんにちは!
有限会社古庄工業、更新担当の中西です。
今回は、造船業界の中でも縁の下の力持ちである「造船配管工事の歴史」に注目し、その誕生から進化、そして現代に至るまでの流れをたどっていきます。
造船配管とは、船舶内で使用されるすべての配管システムの設計・製作・施工を担う仕事です。
飲料水、燃料、冷却水、排水、空調、消火システム、排煙、油圧系統、蒸気ライン――
つまり、配管なくして船は動かないどころか、1メートルも航行できないのです。
日本における本格的な造船配管の歴史は、明治時代後半〜大正時代初期、洋式艦船の国産化とともに始まりました。
船内にボイラーを搭載し、蒸気配管で動力を伝える時代
鉄製の手曲げパイプ、リベット式接合が主流
当時はまだ「専門職」として分化されておらず、船大工や鍛冶職人が兼任する形でした
1950年代〜70年代、日本は世界の造船大国へと躍進。
この時期、造船配管は明確に「専門職」として独立し、技能体系が整備されていきました。
油送・燃料供給ラインの複雑化により、多種多様な配管系統の登場
銅管や鋼管に加え、ステンレスや高張力鋼配管も導入
サブマリン(潜水艦)や大型タンカーなど、高圧・高温・耐震配管が求められるように
この時代に造船配管は「単なる水の通り道」から「システム構成の核」へと進化を遂げます。
それまで手書き図面+現場の勘に頼っていた設計が、
コンピューターによる**配管3Dモデル化(CAD/CAM)**によって一変します。
配管の干渉チェック・空間干渉の事前検出が可能に
プレファブ(事前工場製作)による現場溶接数の削減と施工効率化
より正確な材料拾い出しとコスト削減
造船配管は、より複雑で精密なものへと進化し、同時に設計と製作の分業体制も進んでいきました。
高圧配管と低圧配管の完全分離
油・水・空気・蒸気の用途ごとの色分け・ラベル管理の徹底
溶接からフレア・フランジ・ねじ式・圧着式など接合工法の多様化
耐火・耐震・防爆・防蝕など特殊環境対応素材の選定
そして、溶接技術者・配管加工技術者の技能資格保有が、今や業界標準となっています。
推進、操舵、冷却、消火、生活――
船のあらゆる機能は、配管という見えないネットワークで支えられています。
歴史と共に進化してきたこの分野は、これからも技術革新の最前線で「命を運ぶ配管」を担い続けることでしょう。
次回もお楽しみに!
有限会社古庄工業では、一緒に船舶の安全運航を支える仲間を募集中です!
「人柄」を最重視する採用方針で、未経験の方も大歓迎。
詳しくは求人情報ページをご覧ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!