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第24回造船配管雑学講座

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皆さんこんにちは!

有限会社古庄工業、更新担当の中西です。

 

命を支える仕事

造船の現場には、独特の緊張感と高揚感があります。巨大な船体が組み上がり、エンジンが据え付けられ、電装や艤装が進むなかで、最後に「船として機能する」ために不可欠なのが配管です。造船配管工事は、船の内部に血管のように張り巡らされた配管網をつくり、燃料・潤滑油・冷却水・海水・清水・蒸気・空気・油圧・排水など、あらゆる流体の通り道を成立させます。陸上の配管が生活や産業を支えるインフラであるのに対し、造船配管は「海の上で生きるためのインフラ」です。船が動く、止まる、冷える、温まる、守られる――そのすべてが配管によって成立していると言っても過言ではありません。

造船配管工事の魅力は、社会的な重要性と技術的な奥深さが、同時に味わえるところにあります。船は人や貨物を運ぶだけでなく、漁業、資源開発、海上警備、観光、離島航路、海洋研究など、多様な役割を担います。海の物流が止まれば、エネルギーも食料も工業製品も、社会の隅々まで影響が広がります。その基盤にある船を支える配管工事は、目立たないながらも確実に社会を動かしている仕事です。

造船配管のもう一つの特徴は、対象が「建物」ではなく「船」であることです。船は常に揺れ、潮風や塩分の影響を受け、温度差も大きい環境で稼働します。さらに、限られた船体内部の狭い空間に、複数の系統の配管を安全かつ合理的に収めなければなりません。これは、単にパイプをつなぐ作業ではなく、設計意図と現場条件を読み解き、機能と安全と整備性を両立させる「高度な構築作業」です。配管の取り回し一つで、メンテナンスのしやすさや故障時の復旧性、さらには燃費や運航効率にまで影響することがあります。

船内には、さまざまな配管系統があります。燃料配管は主機関へ燃料を供給し、潤滑油配管は回転部を守ります。冷却系は機関の温度を一定に保ち、海水を利用する系統もあれば、清水を循環させる系統もあります。圧縮空気は起動や制御に使われ、油圧は操舵や艤装機器を動かします。衛生系統や排水系統もあり、人が長時間生活できる環境を成立させます。そして、万一の火災に備える消火系統など、命を守る配管も存在します。これらを組み合わせ、船として成立させる配管工事は、まさに「船の生命線」をつくる仕事です。

この仕事のやりがいは、完成の瞬間に凝縮されます。造船は多くの工程が絡み合う巨大なプロジェクトですが、配管はその最終的な機能確認に深く関わります。試運転や各種試験で、圧力が安定し、流量が出て、温度が規定範囲に収まり、漏れがなく、弁や計器が正しく機能する。そうして船が実際に動き出したとき、造船配管工事に携わった人は、自分の仕事が確実に船の動力と安全を支えていることを実感できます。建造中は見えにくかった配管の価値が、「船が走る」という結果で目に見える形になるのです。

さらに、造船配管の仕事は、完成した船が海へ出てからも続いていきます。船は長期にわたって運用され、定期検査や改修、トラブル対応、更新工事が行われます。運航を止められない場面も多く、短い停船期間で確実に工事を終える段取り力が求められます。ここでも、配管の知識と現場対応力が生きます。原因究明、復旧、再発防止まで含めて、技術者としての総合力が試されるのが造船配管です。

造船配管工事業の魅力を一言で言うなら、「海の上で命と社会を支える、誇りの持てる仕事」です。巨大な船の内部に、自分たちの手で流体の道をつくり、機能と安全を成立させ、航海を可能にする。船が海へ出るたびに、その船の中で自分の仕事が生きている。目立たないけれど、確実に重要で、技術的にも面白い。そんな仕事が造船配管工事です。

 

 

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